眼鏡越しの風景EP55-小粋-

母の影響なのか.子供の頃から洋服好きで、毎シーズンごとに少しずつ洋服を買い足しているが、近頃はお出かけの機会もめっきり減ってしまい、ここ2年は手持ちの洋服を着回し、去年は人生で初めて洋服を一着も購入しなかった。

今年もあと2ヶ月。
10月に入ってから街へ出かける機会も少しずつ戻り、秋というお洒落の楽しい季節も相まって、私の中の洋服熱が再び熱くなり始めた。お出かけもしにくい中、買い物の仕方も前とは少し変わったように感じる。

以前、アパレルブランドの広告やカタログには、スタイル抜群のプロのモデルさんが起用されていたが、SNS全盛のイマドキはお店の前を通ると、近くの洒落た壁をバックに、モデルに扮したショップ店員さんが、ネット掲載用にスマートフォンやデジタルカメラで写真撮影をする場面をよく見かけるようになった。お店のホームページやブランドの公式SNSには、そのお店で実際に接客してくれる店員さんが、新作アイテムを着用し、様々なコーディネートを動画や写真で提案してくれる。マイブランドの洋服をいかに素敵に見せるか、店員さんそれぞれの個性やセンスも織り交ぜながら、写真の切り取りやポージング、モデル姿もこなれていて、とてもカッコいい。自分のスマートフォンに登録しておくと、そこそこの頻度でコーディネート画像がupされてくるのが楽しみになっていて、湘南店の〇〇さんとか、神戸店の誰それとか、お気に入りのショップ店員さんの画像を、日々の自分のコーディネートの参考にしている。

超ナイスバディなモデルさんが写っているカタログも、もちろんいいのだけれど、結局、自分が着用した時のイメージが大切で、平均的な日本人体型の私が同じようなコーディネートをしても、モデルさんとは身長も体型も違うので、カタログの写真通りになるわけもなく、お洒落なカタログは家に飾るには素敵だけれど、スタイリングの参考にはならない。イマドキは更に進化し、全国の大勢いる店員さんのそれぞれの身長やサイズの記載もありスカートの丈感や、袖の長さなど、自分の体型に近い人のスタイリングを見れば、よりイメージが湧きやすい。同じ洋服でも、低身長の人と高身長の人、細い人とぽっちゃりな人では、まったく着用時のイメージが変わってきてしまう。ロング丈はその長さが特に気になるところで、私の場合は高身長の店員さんのスタイリングを参考にすればいい。

見ている画面上のコーディネートが気に入れば、どのアイテム、どのサイズを着用しているのかの記載もあり、写真をタップすれば、そのまますぐに購入することも出来る。お店に行かずして、新作デザインから親切にsaleの情報まで入り、それを使ったコーディネートで、他の物も欲しくなる。いつでもどこでも画面上をポチッとすれば購入することができ、数日後には洋服が自宅に届く。購買意欲は掻き立てられ、お洒落してお出かけしたくなってしまう。このシステムはとてもうまくできていて、私はまんまとお店の術中にハマっている。少し前までは、店員さんとお喋りをしたり、以前購入した洋服との相性など、アドバイスをもらいながら買い物をするの好きだった。“センスの良い、この店員さんから購入したい!”というこだわりもあった。

「いらっしゃいませ~」
「今日はどのような物をお探しですか?」
「ご試着してみますか?」
「一緒にこちらの商品もいかがでしょうか?」
「お買い上げありがとうございます」と、
この一連の流れがネットショッピングでは省略されてしまい、少し味気ない気もするが、合理的なこんな買い方もありなのかとも思う。

今はほどよい都市部に住んでいるので、実際のものを試着にも行けるし、困った時は店員さんに対面でアドバイスを受けることもでき、購入方法をその時々で選択している。お客さんと店員さん、ちょうどいい距離感なのだろう。それでも世の中の人たちが全員、そんな環境に住んでいるわけでもなく、中には「私の町にはそんな洒落たお洋服は売ってないっ」と嘆いていた人もいただろう。お小遣いを貯め、一大イベントのように、憧れのお洋服を“都会で爆買い”しなくても、日本中どこに居ても、今はお洒落を楽しめる時代になった。選択肢が増えたことで、密かにこの国のセンスを底上げしているのかもしれない。

私の今年のトレンドはボストン型の眼鏡と、玉ねぎ色のベレー帽。
いつもなぜだか『手塚先生!』と呼ばれてしまう。

♪My Favorite Song
NEW LOOK   安室奈美恵

yukko

投稿者プロフィール

眼鏡と帽子がトレードマークのボーカル yukkoです。

邦楽カバーとオリジナル、ピアノ&ウクレレ弾き語り
新開地音楽祭やラジオ出演等 神戸を拠点に活動中。

作詞やエッセイ、言葉を調べたり、書きものが好き。

眼鏡越しの風景を、徒然なるままに…。

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