- Home
- 過去の記事一覧
カテゴリー:yukkoのお眼鏡
-
眼鏡越しの風景 EP25-夏景-
夏休みも終わりに近づく頃、夏のメインイベントがあった。 両親が共働きだったこともあり、私は学校終わり学童保育所に通っていたのだが、毎年、学童の先生と保護者による、区民会館の貸し会議室を使った『手作りお化け屋敷』このイベン… -
眼鏡越しの風景 EP24-約束-
ある夏の夜、祖母と二人きりで、こんな話をした。 「おばあちゃん、天国ってあると思う?」 「おじいちゃん、天国に行けたかなぁ」 祖母はこう言った。 「タバコも持ったし、お気に入りのスーツを着て、天国に行けたと思うよ」 「… -
眼鏡越しの風景 EP23-憧憬②-
***前回からの続編『夏休みこどもさんすう教室』のお話*** 午前の部が終わると、いよいよ区民会館の食堂でのお昼ごはん。 お祝いなど特別な日にしか外食しない我が家からすると、小さな子ども財布の資金は潤沢。 好きなメニュ… -
眼鏡越しの風景 EP22-憧憬①-
小学三年生までは、8月に入ると毎年3日間、『夏休みこどもさんすう教室』に入れられていた。 幼い頃、向かいに住んでいたおばちゃんが毎朝、私を家まで迎えに来る。 おばちゃんとは一年に1度、この時にしか会わない。 バス賃とお… -
眼鏡越しの風景 EP21 -四桁-
駅で電車を待つ暇つぶしに、子どもの頃からついついしてしまうことがある。 4桁の数字を目にすると始まる「勝手にジュー数」という私が密かに付けた変なネーミングの「暗算系頭の体操」アナログゲームだ。 そのルールは単純なもので、… -
眼鏡越しの風景 EP20 -執筆-
「yukkoのお眼鏡」を始めて、今回がちょうど20話目となります。初めてエッセイのお話を頂いた時、タイトル、テーマ、企画も自由、私らしく書いてくださいと、編集の彼女は、小顔の中の大きな黒目をキラリッとさせながら話してくれ… -
眼鏡越しの風景 EP19 -共鏡-
6月といえばもうすぐ父の日。 小学生の頃、幼なじみちゃんとどちらの父親が優しく、いいお父さんかという、それぞれの父親たちが聞くと泣いて喜びそうな、娘同士の小競り合いがあった。 彼女のお父さんと私の父は、どちらも背が高… -
眼鏡越しの風景 EP18 -見参-
苺の季節がやってきた。 数年前、仲良しの友人宅で開いた持ち寄りパーティ。 みんなそれぞれ、自慢の手料理、パンやお菓子、オススメのお酒、地方からのとっておきのお取り寄せや、お気に入りのスイーツ、お惣菜を手にそれぞれやって… -
眼鏡越しの風景 EP17 -弟子②-
黒船襲来とばかりに祖父と私、二人のお出かけにシラーっと加わり、自由に振る舞うおチビ怪獣の弟だが、末っ子ゆえの、生粋の甘え上手と要領の良さで、めきめきと頭角を現し、徐々に私の立場を危うくした。 「出かけるぞぉ」の一声が発… -
眼鏡越しの風景 EP16 -弟子①-
私が小学2年生くらいだったか。 その頃より祖父はお出かけにお供を連れて行くようになった。寡黙な祖父は、私を子ども扱いせず、大人に話しかけるように接した。眼差しはとても優しいけれど、けっして多くを語らない。 出かける際は「…